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The Song of Wandering Aengus



                ――The Song of Wandering Aengus――

                I went out the hazel wood,
                Because a fire was in my head,
                And cut and peeled a hazel wand,
                And hooked a berry to a thread;
                And when white moths were on the wing,
                And moth-like stars were flickering out,
                I dropped the berry in a stream
                And caught a little silver trout.

                When I had laid it on the floor,
                I went to blow the fire a-flame,
                But something rustled on the floor,
                And some one called by me name;
                It had become a glimmering girl
                With apple blossoms in her hair
                Who called me by my name and ran
                And faded through the brightening air.

                Though I am old with wandering
                though hollow lands and hilly lands,
                I will find out where she has gone
                And kiss her lips and take her hands;
                And walk among long dappled grass,

                And pluck till time and done,
                The silver apples of the moon,
                The golden apples of the sun.

                わけもなく 心燃えて
                榛の森に 分けいり
                その枝を切り 皮をはぎ
                釣竿にして 糸に野いちごの
                実をつけた。
                白い蛾が翔たち 蛾のような星の
                またたき出る 夕べに――
                川の流れに イチゴを投げ
                銀色の マスを釣りあげた。

                マスを 岸辺に 釣りあげ
                火をふいて おこそうとした。
                すると、 川床で 衣ずれの音がして
                だれかが わたしの名を呼んだ。
                魚は かがやく 美少女に変わり、
                その髪に 白いリンゴの花をさし、
                わたくしの名をよんで 走りさり、
                仄ひかる 夕空に姿を消した。

                谷や丘の さすらいの
                旅に いまは年老いたが
                さがしてみせよう その行方を、
                彼女の唇に キッスして
                その愛を わがものとし、
                この世のかぎり、摘んでみせよう
                月の白金の リンゴを、
                陽にきらめく 黄金のリンゴを。

                (W.B.Yeats)松浦 暢訳

                ++++++++++

                ケルト古話によると、インガスは、エロスに相当する(愛と美)の神。
                彼はある夏の夕ぐれ、のシンボルのハシバミの木の実をつけて銀色のマスをつりあげる。
                「成熟した女性」の意味をもつマスは、彼が準備していている間に、
                りんごの花をさした美女に変身、夕闇に消えた。
                この永遠お女性を求めて彼は死に至るまで彷徨の旅にでる。
                しかし、見つかる可能性は、ほとんどない。
                人生の理想、目的のはかなさをしめす詩。

                松浦 暢“英詩を愉しむ”より引用

                ++++++++++

                「マディソン郡の橋」の原作を読まれた方や映画をご覧になった方は、
                フランチェスカが「白い蛾が羽をひろげるとき、 また夕食に来ませんか」というメモを
                ローズマン・ブリッジに ピンで止めた場面を覚えていらっしゃいますか。
                カメラマンのキンケイドは "The silver apples of the moon,The golden apples of the sun." 
                「月の白銀(しろがね)のりんごを、陽にきらめく 黄金のりんごを」とイエ―ツの詩の最後の一節を暗誦した。フランチェスカはすぐに「イエ―ツね」と呟く。
                この詩を知っていたフランチェスカは彼に心を引かれ、 同じ詩から引用してメモを書いたのです。
                キンケイドと、高校教師をしていたフランチェスカは、 この詩によって結ばれたのかも・・・ロマンティックですね!

                この詩を理解してから「マディソン郡の橋」を見たならばもっと感動したかも知れない。sweet caroline

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